壮吾労働法

二一〇回 有期労働契約と無期労働契約⑤
 日々労働契約は、一日限りの労働契約をいう。一日数時間の労働契約もある。このタイプの労働契約は、一日のうちに当然に効力を失うので、原則として解約はありえない。しかし、一日限りの労働契約が日々連続的に締結されると、形式とは別個の実質的な考慮が必要となる。日々労働契約の契約形態が悪用されると、労働基準法による解雇手続きの適用を免れることとなるが、もっぱらその為にのみ日々労働契約の形式がとられているが、実質的に労働契約が連続的に運用されており、日々労働契約の実質を喪失していることがある。しかも、その労働の内容が、機関の定めのない労働契約を締結している労働者のそれと何ら異なるものではない場合もある。
 かかる場合について、会社は、日々労働契約を締結している労働者に対して明日からは契約しないと通告してよいか。以後は会社と当該の労働者とは無関係とするとする会社の主張は、正しいのか。あるいは、労働者の保護の見地からする論理構成により、このような労働者をどの様に扱うべきかという問題があるというべきなのか。
 この問題の正解は、一様ではない。次のような様々の判断要素を総合的に見て、結論を出すしかないであろう。