錚吾労働法

二二回 賃金ーその6サービス残業
 時間外労働には、割増賃金が支払わなければなりません。しかし、最近、好ましくないことが行われています。いわゆるサービス残業です。労基法においては、サービス残業などは存在しません。労働者の弱い立場に付け込んでいるとしか、言いようがありません。
 定時に労働を終了したように装うために、管理職が労働者にタイムカードを不正打刻させたり、管理職自身が他人のタイムカードを打刻してしまうなどのことが横行したのです。これらは、決して許されない野蛮な行為です。
 労働者は、自分の退社時刻を正確に記録しなければなりません。タイムカードが正確でないことを証明するためには、記録を怠ってはなりません。何の記録もなく割増賃金の支払いを求めても、それを実現するのは困難でしょう。
 個別労働紛争処理のための労働局のあっせんや労働委員会のあっせん、あるいは裁判所の労働審判において、割増賃金の支払いを求める労働者がけっこうおろます。労働局に相談に行ってあっせんを勧められるなどは、記録を持参出来ないからです。記録があれば、労働局の監督官が労基法違反事例として、是正措置を講じてくれたはずだからです。