2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

錚吾労働法

一〇四回 機関委任事務と自治事務 労働委員会について述べるときに、「機関委任事務」とか「自治事務」という耳慣れない言葉を使ってきました。この2つの言葉の意味について説明しておきます。 機関委任事務とは何か。ここに機関委任事務というのは、旧地方…

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一〇三回 中央労働委員会③ 労委事務の自治事務化がなされたが、労組法の改正にまで踏み込まなかったため、自治事務化そのものが不徹底なものとなった。この点は、既に指摘した。労組法26条を読んで下さい。中労委は、都道府県労委が行う手続に関しても規則…

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一〇二回 中央労働委員会② 「労働委員会制度」は、「地労委事務」が「自治事務」となって、それまでの「国の機関委任事務」ではなくなったが、「中労委」は引き続き「国の事務の執行機関」たることにいささかの変化もなかったことによって、複雑微妙なものと…

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一〇一回 原子力損害賠償支援機構法 「原発事故」を起こしてしまってから「補完的損害賠償条約」に加入しようとするのは、いかにも虫が良すぎる。このことについては、条約の枠組みを紹介する中で述べたことである。とはいっても、当たり前のことではあるが…

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百回 ハラスメント 「おい、セクシャル・ハラスメントって何だ?」。ある会社の技術者だった知人が、「お前らはどういう教育をしていたんだ!」と社長から大目玉をくらって、叱られた理由が判らなかったので、電話してきた次第。もう随分昔のことです。アメ…

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九九回 中央労働委員会① 「中央労働委員会」(「以下中労委」)は、厚生労働省の外局として存在する。わが国の労使関係に関して、「中労委」は、重要な役割を演じてきた。「証言構成・戦後労働運動史」などの大部の著作物を図書館などでごらんください。「公…

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九八回 節電 「節電」は、当たり前のことです。誰でも何時でも節電していると思っていたが、そうでもないらしい。夏には、窓を開け放して、簾で日光の直射や反射を遮り、板の間に座したり、寝ころんでおれば、体に良くない冷房などはしないでよいし、耳に心…

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九七回 賃金③ 「ノーワーク・ノーペイ」なる原則があると、教科書に書いてあります。労働契約を締結し、使用者との間に労働関係があっても、「ストライキ」など実際に就労しなかった日数、時間があれば、それに相当する賃金は支払われないという。この説明は…

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九六回 賃金② 賃金に関して生じた様々な紛争がありました。ここでは、その一端に触れておきましょう。 第1に、「退職金」についてです。退職金は、労働者が退職するときに当然に支払われるものではありません。退職金を支払うとの労働契約における合意、労…

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九六回 賃金② 賃金に関して生じた様々な紛争がありました。ここでは、その一端に触れておきましょう。 第1に、「退職金」についてです。退職金は、労働者が退職するときに当然に支払われるものではありません。退職金を支払うとの労働契約における合意、労…

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九五回 賃金① 労働者は、「労働の対償」としての「賃金」を得て、それを「生活の糧」として生活している。人間に内在している「労働力」は、無限にあるわけではないので、労働するに先だってそれを再生産しなければなりません。食事や睡眠がそのために必要で…

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九四回 使用者と「法人格否認の法理」 「法人格」は、権利・義務(「取引財産」)の帰属主体を表示するものであるから、取引関係の展開にとっては必要不可欠な法的技術である。「法人格」は、取引の円滑及び安全や事業主体の対外的信用をも担っており、その…

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九三回 使用者の概念の拡張② 労基法10条は、「労基法上の使用者」を「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」としている。「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理…

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九一回 公務員と処分③ 公務員の意に反する不利益処分としての「懲戒処分」は、「分限処分」と並んで公務員制度の質的担保の「後陣」をなすものである。公務員制度の国民に対する質的担保の王道は、「勤務成績・勤務実績の適正・適格な評価」のみならず、「職…

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九二回 公務員と処分④ 職員が懲戒免職などの処分に付される理由は、法定事項です。これを国公法82条1項2号の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」について、考えてみましょう。ここに言う「職務上の義務」は、国公法96条以下の「服務規定」…