2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

錚吾労働法

二七回 同一労働同一価値の原則ーその2 同一労働同一価値の原則のその1で見ましたように、この原則には一様ではない目標が随伴しています。しかし、最も重要な事柄は、民族、人種、国籍、身分、出身地域、性別、年齢、学歴など人間の間に差別を持ち込んで…

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二六回 同一労働同一価値の原則ーその1 最近、法曹界のみなさんがこの原則に言及するようになってきました。しかし、その中身をどのように理解しているのか、伝わって来ません。原則または原則的な事柄については、正確な理解が必要です。 同一労働と同一価…

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二五回 派遣ーその4黙示の意思表示による契約成立 派遣法による派遣が行われる場合、派遣の開始から終了までの期間が契約回数を積算すると長くなっていることがあります。この場合の紛争は、派遣先会社が派遣契約を解除したのに、派遣労働者が、派遣労働者…

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二四回 派遣ーその2派遣労働者との紛争 派遣労働者と派遣事業者、派遣労働者と派遣先企業との紛争が、増加しつつあります。また、派遣労働者の労働組合も結成されており、派遣労働者の組織化に熱心な合同労組もあります。派遣元または派遣先に対して、労働…

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二三回 派遣ーその1派遣の基本的な関係 派遣労働者が、ずいぶん増えました。働き方の多様化の掛け声の下、親世代に対する企業のリストラなどを見聞きした若者にとっては、この掛け声は魅力的でした。企業にわが身を拘束されたくない若者たちは、アルバイト…

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二一回 賃金ーその5争議行為と賃金 争議行為と賃金の関係に関して、ノーワーク・ノーペイの原則が語られています。これは、和製英語ですが、両者の関係を考えるときには便利な考えであるとは言えます。 しかし、争議行為の多様性を考慮しますと、この原則は…

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二二回 賃金ーその6サービス残業 時間外労働には、割増賃金が支払わなければなりません。しかし、最近、好ましくないことが行われています。いわゆるサービス残業です。労基法においては、サービス残業などは存在しません。労働者の弱い立場に付け込んでい…

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二〇回 賃金ーその4超過勤務(残業) 法定の労働時間の上弦を超えて労働させた場合、使用者は手当を支払わなくてはならない。使用者が、この手当の支給を免れるために種種工夫することがある。例えば、名ばかり管理職の多数配置が、問題となっている。また…

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一九回 賃金ーその5定昇とベア 春闘ともなりますと、新聞紙上に定昇とかべアとかの言葉が頻繁に登場します。定昇とベアの区別をしっかりと認識しましょう。 定昇つまり定期昇給は、号俸が1ランク上がることを言います。現在の号俸が1000で、その上が1…

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一八回 賃金ーその4支払い方法 使用者は、労働者に対して毎月1回以上、定期日(支払い日)に賃金を支払わねばなりません。15日締め切り27日支給というようなことを聞いたことがあると思います。 締め切り日は、賃金額を確定するための日付です。前回締…

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一七回 賃金ーその3賃金の支払い 使用者は、賃金を直接労働者に、通貨で、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません(労基法24条1項2項)。これを賃金支払いの基本原則といい、直接払い、通貨払い、全額払い、毎月一回定期日…

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一六回 賃金ーその2賃金の構成 お手元の賃金明細をご覧ください。一口に賃金と言っても、それは単一でなく、種々の費目から成っています。基本給は、普通は、全賃金費目中で最も賃金額が多い部分です。賃金を固定給と変動級とに区分する場合、基本給は固定…

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一六回 賃金ーその2賃金の構成 お手元の賃金明細をご覧ください。一口に賃金と言っても、それは単一でなく、種々の費目から成っています。基本給は、普通は、全賃金費目中で最も賃金額が多い部分です。賃金を固定給と変動級とに区分する場合、基本給は固定…

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一四回 賃金ーその1 賃金とは、使用者が労働の対償として労働者に支払うべきものであり、その名称を問わない。賃金の名称は、賃金、俸給、給与、手当、報酬など様々ですが、労働の対償としての性格を有するものは、賃金です(労基法11条)。民法では、報…

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十三回 労働条件とは何か 労働条件は、労働者が使用者のために労働する際のさまざまな取り決めがありますが、特に働きかたや処遇に関するものであると言ってよいでしょう。その代表的なものは、賃金、労働時間でした。しかし、賃金に関する事柄も、労働時間…

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一五回 賃金ーその2賃金の構成 お手元の賃金明細をご覧ください。一口に賃金と言っても、それは単一でなく、種々の費目から成っています。基本給は、普通は、全賃金費目中で最も賃金額が多い部分です。賃金を固定給と変動級とに区分する場合、基本給は固定…

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第十二回 労働条件の原則 労働条件は、基本的には労働契約の当事者が話し合って決めるべきことです。労働時間、出社・退社時刻、休憩時間・時刻、ティーブレイク、残業時間数の上限、出張中の労働時間、持ち帰り仕事の時間など、労働時間だけでも、話し合っ…

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第一〇回 募集と応募 賃金を得てしか生活することができない者は、社会的に労働者ですが、実際に使用者と労働契約を締結して実際に労働者となる外ありません。それは、就職することです。社会的な労働者であれば、誰しも就職できるものではありません。就職…

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第一一回 採用内定と試用期間 近時の労働市場のシュリンクにより、求職者は企業から採用内定の通知を待望しているようです。しかし、採用内定が後日取り消されたということもあります。企業は、最初から採用という通知をしないで、まずは採用を内定するので…

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第九回 使用者と労働者 労働組合のナショナル・センターの下に、さらに労働組合が組織されています。例えば、連合に組織されている自動車総連には、殆どすべての自動車産業の各労働組合で組織している全トヨタ労働組合連合会などの12の労連が加入していま…

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第八回 使用者と労働者ーその4 労働組合のナショナル・センターとして、次のものがある。 日本労働組合総連合会(連合) :680万人 全国労働組合総連合(労連) :119万人 全国労働組合連絡協議会(全労協): 30万人(但し全労協は、自らナショナ…

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第七回 使用者と労働者ーその3 使用者と労働者は、個々の使用者と労働者として登場することもあれば、団体としての使用者と労働者として現れることもある。後者の場合を、使用者団体と労働者の争議団や労働組合の関係として理解することになる。 争議団は、…

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第五回 使用者と労働者ーその2 働くときに、労働契約を締結していない者がいて、金銭収入を増やそうとするときに、誰を使用者として話し合いをするのが適切かという問題がある。 本職は弁護士で、大学の専任教師であるだけでなく、テレビのワイドショウに出…

籾山錚吾教授の労働法教室

第六 回使用者と労働者ーその2 働くときに、労働契約を締結していない者がいて、金銭収入を増やそうとするときに、誰を使用者として話し合いをするのが適切かという問題がある。 本職は弁護士で、大学の専任教師であるだけでなく、テレビのワイドショウに出…

錚吾労働法

第4回労働者と使用者ーその1の続きー 労働組合法は、結社の自由(憲法21条1項;同28条)の結社の自由、団結の自由(労働者による結社の自由の行使たる労働組合の結成などの権利をより具体的に規定したのが団結権)を全国津々浦々の労働者に具体的に知…

錚吾労働法

第三回労働者と使用者ーその1ー 労働法を学習する際に、最も重視すべき概念は、「労働者」と「使用者」です。法律の世界では、概念をきちんとしておかねばなりません。きちんとしなければなりなせんが、法律によって概念は異なります。 労働基準法(労基法…