2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

錚吾労働法

五五回 労働時間・休憩・休日の適用除外 労基法41条は、労働時間等について「適用除外」についても定めています。適用除外というのは、労基法を適用しませんという意味です。適用しませんというのですから、適用されない労働者についての詳しい情報が必要…

錚吾労働法

五四回 裁量労働 その2「企画業務型裁量労働制」 企画業務型裁量労働制は、事業場内に労基法38条の4に規定している「委員会」(「当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会…

錚吾労働法

五三回 裁量労働 その1「専門業務型裁量労働」 企業内で一定の業務を行うときに、プロジェクト・チームを組んでいることがあると思います。そしてこのチームの行う開発業務についてはこのチームに裁量権を与え、使用者の側からは指揮・命令の余地が無いよう…

錚吾労働法

五二回 中間搾取の禁止から派遣法へ 労基法6条は、「中間搾取」してはならないとしています。「口入屋」とか「口入稼業」などと言って、労働場所を周旋して荒稼ぎをしていた人間が多数いて、少女を事実上売りとばしたり、男をタコ部屋に押し込めて暴力的支…

錚吾労働法

五一回 原発労働者 福島原発事故がコントロール可能なものなのかどうか、素人のわれらは専門家に意見に首を傾げて聞いているしかありません。そして、懸命に現地で働いている皆さん(東電関係者、消防関係者、自衛隊関係者、そして多分その他の関係者)には…

錚吾労働法

五〇回 休日と年次有給休暇ーその4年次有給休暇② 「時季変更権」は、労働者が年休権を行使すると「事業の正常な運営を妨げる」こととなる場合に、「他の時季」に年休権を行使させることができる権利なんだね。嫌がらせのための時季変更権の行使は、ないでは…

錚吾労働法

四九回 休日と年次有給休暇ーその3年次有給休暇① 年次有給休暇は、通常、単に年休と言われています。年休に関しては、労基法39条に詳しく定められております。労基法39条1項は、「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八…

籾山労働法

四七回 休日と年次有給休暇ーその2休日② 休日の振り替えとは、どういうことかな。休日が使用者の意思で何時でも変更されるならば、労働者が休日を自由かつ計画的に利用することができない。だから、休日がいつかを特定しないと駄目なんだ。休日の振り替えは…

錚吾労働法

四六回 休日と年次有給休暇休暇ーその1休日① 休日とは、労働日ではない日です。年次有給休暇または年休は、労働日ではない日、または労働日の一部について労働義務が無い日のことです。そのいずれにおいても、労働者は労働義務から免れることになります。労…

錚吾労働法

四五回 労働時間ーその12労働時間法⑨ 朝から労働して昼には休憩する。労働者の多くは、このパターンで労働・休憩・労働を日々繰り返しています。労働者が働く職場は、様々です。一次産業でも、漁業の場合には、魚群を前にして休憩していてはおまんまのくい…

錚吾労働法

四四回 労働時間ーその10労働時間法⑧ 最初に、被災者の皆さま、犠牲者の皆さまに真心からお見舞い申し上げます。それ以外の言葉は、思い当たりません。どうか御身お大切に。1日も早く、温かい所で温かい食事が出来ますよう、また温かい布団でぐっすり睡眠…

錚吾労働法

四三回 労働時間ーその10労働時間法⑨ 災害などによる臨時の必要がある場合の時間外労働・休日労働については、必要な手続きをふんで、使用者は労働者に業務命令を発することが出来る(労基法33条)。労基法33条をよく読んで下さい。その意味するところ…

錚吾労働法

四二回 労働時間ーその9労働時間法⑥ 残業については、誰でもがそんなことは知っとるわいと言うでしょう。しかし、よく知っているつもりでも、知らないことが案外に多いのです。一週40時間、1日8時間の大原則は、いろんなことを言っているんだ。 第1に…

錚吾労働法

四一回 労働時間ーその8労働時間法⑤ 会社の就業規則に、始業・就業の時刻および休憩時は、季節または業務の都合により変更し、一定期間内の特定の日あるいは特定の週について、労働時間を延長し、もしくは短縮することができるとの定めがあるとしましょうか…

錚吾労働法

四〇回 労働時間ーその7労働時間法④ 労基法32条の2の定めを読んでください。この規定は、1カ月単位の変形労働時間制を定めています。この規定における特定された週または特定された日の特定とは、いかなる意味を有するのでしょうか。 変形労働時間の設…

錚吾労働法

三九回 労働時間ーその6労働時間法③ 労働条件の明示義務(労基法15条1項)との関係で言いますと、労働時間は、労働者に対して必ず明示されねばなりません。そこで、使用者が、1週40時間、1日8時間とのみ口頭表示したとします。この場合、誰でも分か…

錚吾労働法

三八回 労働時間ーその5労働時間法② 労働時間法が複雑化したとしても、1週40時間1日8時間が、労働時間法制の根本です。まずは、この原則規定に関わる紛争について考えましょう。 タイムレコーダーの設置場所が会社の門であったり、あるいは門たら離れ…

錚吾労働法

三七回 労働時間ーその4労働時間法① 労働時間は、賃金と並んで労働条件の中でも最も重要なものだと考えられています。労働時間は、実労働時間だということに注意しましょう。労働時間と賃金は、密接に関連しているので、労働者は不明なことがあったら、すぐ…

錚吾労働法

三六回 労働時間ーその3労働時間の短縮 労働時間の短縮は、進行の遅い課題となっています。では何ゆえに、時間短縮は進まないのかな。松平定信日記から判明することは、侍たちは1日2時間程度のご奉公だった。一心太助のような商売は、蜆売りと同様、早朝…

錚吾労働法

三五回 労働時間ーその2「1週40時間1日8時間」 労働時間規律の最も原則的な定めは、1周40時間1日8時間です(労基法32条1項・2項)。休憩時間は、含まれません。休憩時間は、労働時間の途中に与えられますが、労働時間が6時間を超えるときは…

錚吾労働法

三四回 労働時間ーその1原則的なこと 労働時間は、労働の質ではなく、労働の長さを計測し賃金額を計算する単位としてあります。哲学的または物理学的時間とは、何の関係もありません。 人間は、食事、労働、睡眠を日々繰り返し、自己の体内から生ずる労動力…

錚吾労働法

三三回 その他の男女差別 かっては、女性労働者に早期に退職を促すような人事管理がなされておりました。しかし、かってはと言って良いのかどうか迷います。ある町の町長が、女性職員は結婚したら退職するのは当然で、その後は臨時職員になればいいじゃない…

錚吾労働法

三二回 男女同一賃金の原則ーその3具体的な問題 男女間で昇格で差別がありますと、差別されたほうは、昇格による賃金上昇の利益を侵害されてしまいます。そうすることに格別の合理的な理由がないとか、その合理性を立証出来ないときには、使用者は、その責…

錚吾労働法

三一回 男女同一賃金の原則ーその2具体的な問題 学生の就職率が惨憺たる低さですが、働くことに大した意欲なく会社訪問したり、しなかったりの学生が増えていますので、企業に見透かされているのです。教師として思わず愚痴ってしまいましたが、本題に入り…

錚吾労働法

三〇回 男女同一賃金の原則ーその1原則の意味と問題点 労基法は、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」(4条)としています。この定めは、当たり前のものだと考えてはなりません。当たり…

錚吾労働法

三〇回 男女同一賃金の原則ーその1原則の意味と問題点 労基法は、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」(4条)としています。この定めは、当たり前のものだと考えてはなりません。当たり…

錚吾労働法

二九回 均等待遇ーその2 均等待遇は、その1で述べた労働条件についてその差別の指標によって差別しないことを言います。パート労働者であっても、期間の定めのない労働契約を締結している通常の労働者とその職務内容が同程度の者、それに期間の定めのある…

錚吾労働法

二八回 均等待遇 その1差別の指標 労基法は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」(3条)旨を定めています。ここでは、差別の指標として、国籍、信条、社会…

錚吾労働法

二八回 均等待遇 その1差別の指標 労基法は、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」(3条)旨を定めています。ここでは、差別の指標として、国籍、信条、社会…