2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

錚吾労働法

九〇回 原子炉事故賠償問題と国際条約 労働法教室と銘打っていながら、この問題を取り上げる理由は、原子炉事故を何回か取り上げてきたからである。29日の朝日新聞朝刊が、この問題を取り上げている。多分、この報道によって巨額な損害賠償請求が、日本で…

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八九回 公務員と処分② 「分限処分」は、「法定の分限処分理由」に該当しなければ、「職員は、その意に反する免職などの不利益を甘受させられることがない」と言う意味において、「身分保障」の支柱たるものである。かって、積極果敢に「分限処分」がなされた…

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八八回 公務員と処分① 現行の公務員制度においては、公務員に対する処分として、「分限処分」と「懲戒処分」とが分別されて規定されている。「分限処分」および「懲戒処分」が議論されるときには、殆ど条件反射的に「公務員の身分保障」が語られてきたので、…

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八七回 原子炉事故と労働⑪ 原子炉の暴走を可能な限り速やかに制止して、20年はかかるだろう廃炉作業を開始してください。それにしても、ああでもない、こうでもないという情報ばかりです。聞いている国民を右往左往させれるばかりで、指揮系統はどうなって…

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八六回 使用者概念の拡張① 「労働委員会」と「裁判所」は、その担うべき任務と機能とが異なっている。この両者の任務と機能が異なっているのに、労働委員会も裁判所もそのことに思いをいたさなくなりつつある。その現実を露わにしつつあるのが、「使用者概念…

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八五回 使用者の範囲 使用者の範囲と言うと、ちょっと面食らうかも知れません。使用者は使用者であって、使用者以外の者が使用者となるわけはないだろう、と言う者がいても何ら不思議なことではありません。そしてそのように言っても、殆ど正しいといって良…

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八五回 使用者の範囲 使用者の範囲と言うと、ちょっと面食らうかも知れません。使用者は使用者であって、使用者以外の者が使用者となるわけはないだろう、と言う者がいても何ら不思議なことではありません。そしてそのように言っても、殆ど正しいといって良…

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八四回 公務員制度改革③ 「公務員の団結権」については、「職員団体」を「オープン・ショップ」に構成してきたところである。最近は、そうでもなくなったが、オープン・ショップに止めているのは、「団結自由の原則」がどのような「団結形態を採用するかにつ…

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八二回 公務員制度改革① 政府は、「公務員制度改革」の一環として、「団体交渉権」を付与するという。このような報道に接する度に、本当にきちんと考えて言っているのかと思う。一言で言うと、「本当に大丈夫なのか」。「労働協約締結権」と「スト権」を認め…

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八三回 公務員制度改革② 合同労組が、民間企業を相手に奮闘している。公務員と公務員の職員団体(労働組合となるだろう)との関係は、「オープン・ショップ」の関係できたし、これからもそうだろう。公務員が合同労組の組合員となれば、合同労組が財務省など…

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八三回 公務員制度改革② 合同労組が、民間企業を相手に奮闘している。公務員と公務員の職員団体(労働組合となるだろう)との関係は、「オープン・ショップ」の関係できたし、これからもそうだろう。公務員が合同労組の組合員となれば、合同労組が財務省など…

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八三回 公務員制度改革② 合同労組が、民間企業を相手に奮闘している。公務員と公務員の職員団体(労働組合となるだろう)との関係は、「オープン・ショップ」の関係できたし、これからもそうだろう。公務員が合同労組の組合員となれば、合同労組が財務省など…

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八一回 原子炉事故と労働⑩ 原子炉事故が発生すると、誰がその暴走を停止させ、汚染を除去するべきかという問題が生ずる。また同時に、広範に発生するであろうに相違ない職場の喪失を誰がどのように回復させるべきかという問題も生ずる。今回の震災と同時に発…

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八〇回 配置転換④ 「日本では、配置転換が頻繁なのか」。「労働者は、よく黙って従っているな」。「日本人は、命令されて、命令に服従するのが好きなのかい」。ドイツ人どもが、わたしに浴びせた質問です。最後の質問には、「あんた達には、言われたくないよ…

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七九回 配置転換③ 配置転換は、労働者に思わぬ負担を強いる結果になることがあります。思わぬというのは、使用者が労働者の家庭の状況などを知らないで、配転命令を発する場合があるからです。 労働者が、会社の転勤打診に、父母が長い患いで入院しており、…

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七八回 配置転換② 「一寸の虫にも五分の魂」の立場から言うと、ガチガチの指揮命令権に彩られた労働関係なんざ、「真っ平御免なすって」てなことになるんだよ。優秀なのが命令聞かないから首にされるなんてやりかたは、結構あると思うけど、企業にとって損失…

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七七回 配置転換① 労働者は、使用者の指揮命令に服する、服さねばならない。教科書には、これは常識的な事柄として記述されている。しかし、「ああしておくれ、こうしておくれ」と言われれば、「ガッテン承知の助」とか、返事しなくても心の中で「ちゃんとや…

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七六回 原子炉事故と労働⑨ 菅首相は、5月6日、海江田大臣との協議の結果、中電に対する浜岡原発4号機および5号機の運転停止を要請した旨を公表した。浜岡原発1号機・2号機は既に廃炉が決定しており、3号機は運転停止中であり、4号機・5号機が稼働中…

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七五回 原子炉事故と労働⑧ ひび割れがあったとか、水漏れがあったとか、水量計の取り付けに間違いがあったのでナトリウム漏れがあったとか、作業員の間違いから臨海に達してしまったというような、隠してはおけない事故ばかりでなく、所内処理で済ませてしま…

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七三回 本年3月期の勤労統計調査 厚労省が5月2日に公表した「勤労統計調査(速報)」によると、3月の1人当たりの「給与総額」は、前年同月と比較すると、0,4%減の27万4886円、「所定内賃金」は0,9%減の24万3425円となった。景気は…

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七四回 内定と内々定 「内定」については、既に触れたけれども、「内々定」なんてのもあるわね。内定とは、「使用者に解約権が留保されている始期附きの労働契約である」という最高裁の定義があるんだった。 そうすると、「内々定」ってのは、「使用者に内定…

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七二回 原子炉事故と労働⑦ ドイツのマスコミは、福島原発事故をかなりセンセイショナルに報じている。「派遣労働者(Leiharbeiter)」の苦闘を、現代版の奴隷であると断定するものもあるようである。そんな論調であると、ひょっとしたら、「兄ちゃんいい仕事…

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1回 労働法とは 労働法は、ひとの労働生活を規正することを目的とする法をいいます。法はどこにも在るものなので、家庭における労働に関して種々の規範が存在している家庭もあると思います。あるいは、稲作労働については、、農家が相互に守るべき作業手順…

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二回 労働者と企業の衝突 労働者と企業は、しばしば衝突します。有力な「唯物史観」によれば、労働者と資本家の対立は単なる対立ではなく、「非和解的な対立」であり、その止揚は労働者による革命によってのみ可能であるという。 物理学、数学のように、計算…