錚吾労働法

四六回 休日と年次有給休暇休暇ーその1休日
 休日とは、労働日ではない日です。年次有給休暇または年休は、労働日ではない日、または労働日の一部について労働義務が無い日のことです。そのいずれにおいても、労働者は労働義務から免れることになります。労働義務がないという意味では、休日も年休も同じですが、使用者にその間の賃金支払い義務が無いか有るかの相違があります。休日を有給としても、いっこうに差し支えありません。
 労基法35条1項は、使用者は労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないとしています。労基法35条1項の毎週1回の休日は、週40時間制(労基法32条1項)の狙いが週休2日制であることを考慮すると、文字通りの最低基準であると言えます。
 休日を週2回としている事業場が、増加しました。その際に、無給日を1日増やしたという例は、あまり聞かなかったと思います。労基法35条の毎週1回休日の原則は、この意味では、毎週1回無給日としての意味を有することになります。少なくとも1回ですから、2回でも、3回でも良いですが、労働者の受け取る賃金が減少することにもなりますので、限度があります。週休3日などは、考えられもしないでしょう。
 休日は、休業日ではありません。休業日は、何らかの事由によって
操業することができない日を言うのです。自然災害で休業を余儀なくされることもあれば、大停電でそうなる場合もあるでしょう。労基法26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合の6割以上の手当の支払い義務を定めています。休日は、原則として、無給日であって、金銭の支払いはありません。使用者の責に帰すべき休日という考え方は、無いからな。また、休業すれば労働しないわけだから、原則として労働者に賃金請求権はありませんが、使用者の責に帰すべき事由があるときに限って、休業手当の支払いを使用者に命じているんです。こんなわけで、休日と休業は区別されなければならないんですよ。ややこしいな法律家は、細かいことばっかし言いよって。
 休日は、丸1日です。まる1日は、午前0時から午後12時までです。そうだとすると、午後9時からの24時間は、まる1日ではなくて、1日目に3時間、2日目に21時間ということになって、まる1日の24時間の休日を与えたことにはならないんですか。2日にわたってのこま切れ休日は、労基法35条1項違反ではないですか。こういう問題は、交代制労働の場合に発生します。