錚吾労働法

第五回 使用者と労働者ーその2
 働くときに、労働契約を締結していない者がいて、金銭収入を増やそうとするときに、誰を使用者として話し合いをするのが適切かという問題がある。
 本職は弁護士で、大学の専任教師であるだけでなく、テレビのワイドショウに出演している者がいるとしよう。弁護士稼業を自己の事務所で独立しておこなっておれば、弁護士は労働者ではないが、雇われ弁護士ならば、労働者である。大学の専任教師という面では労働者だが、学内ポストの関係では使用者かもしれない。テレビ出演者という面では、この弁護士は労働者なのか、労働者でないのか。テレビ局への行き来の途上で事故にまきこまれたら、労災認定され得る労働者なのであろうか。
 力士が団結して処遇の改善を求めるとしたときに、その相手となるべき者は、部屋持ち親方か、それとも相撲協会なのか。または、このような発問自体が、ナンセンスなのか。プロ野球選手会と力士会とは、どのように違っているのか。考えるだけでも、面白いのでは