錚吾労働法

第七回 使用者と労働者ーその3
 使用者と労働者は、個々の使用者と労働者として登場することもあれば、団体としての使用者と労働者として現れることもある。後者の場合を、使用者団体と労働者の争議団や労働組合の関係として理解することになる。
 争議団は、労働者側の当面の目的の実現をを達成すれば解散となる一時的な労働者の団結である。労働組合は、憲法28条を直接の根拠とした結成されることもあれば(憲法組合)、労組法に基づいて結成されることもある(法内組合)。労組法の保護を受けられるかどうかの相違がある。
 労動組合は、労働者主体の自主的な組織であらねばならず、労働条件改善、その他経済的地位の向上を目的とするもの(労組法2条本文)、使用者から独立した存在であらねばならない(同2条1号)。使用者から経費援助を受けてはならない(同2条2号)。
 労働組合の大部分は、企業の労働者によって組織されている(企業別労働組合)。組合事務所の使用者からの提供(労組法2条2号)は、好ましいわけではない。労働条件および経済条件のの維持改善に専念することが望ましいが、それに不可欠なその他の活動も可能である(同2条3号4号参照)。
 労働組合は、企業別のみならず、職業別、地域別、産業別にも組織されることができ、また一般的に組織されることもできる。