錚吾労働法

第八回 使用者と労働者ーその4
 労働組合のナショナル・センターとして、次のものがある。
 日本労働組合総連合会(連合)  :680万人
 全国労働組合総連合(労連)   :119万人
 全国労働組合連絡協議会全労協): 30万人(但し全労協は、自らナショナル・センターと称したことはないようである)
 連合および全労連は、各都道府県に地方本部をおき、各都道府県下の労働組合が加入している。教員を含む公務員の職員団体も、加入している。一般労組も、加入している。
 新たな労働組合の結成も、見られる。その嚆矢は、管理職組合である。有名無実の管理職が多く、リストラされやすかったためであっら。各地にパートユニオン、青年ユニオン、派遣労働者ユニオンなどの結成が、見られる。既成の労働組合の目の届かない労働者の団結運動が、着実にすすんでいるようである。外国人労働者ユニオンの結成も、ま近かも知れない。ボーダレス労働組合も、近い将来に組織されるかも知れない。
 使用者のナショナル・センターには、次のものがある。
 日本経済団体連合会経団連):会員団体1,632社
 日本商工会議所(商工会)
 全国中小企業団体中央会(中央会)
 労使関係にとって重要なのは、経団連である。経団連の他に、かっては日本経営者団体連合会(日経連)があって、労働問題または労働政策を担当していた。両者の会員企業は、ほとんど重複していた。労使関係の安定にともない、日経連の役割は終わったとされ、両者は統合された。これに伴い、経団連は以前に増して産業政策に比重を移し、労働政策の比重が軽くなった。派遣事業の拡大、派遣切りは、これと無関係ではないであろう。
 中央会の労使関係における役割は、今後増大するであろう。外国人労働者の研修・実習制度の研修部分が座学2カ月となり、労働法のほとんど全面適用へと改正された。中央会傘下団体の使用者性が、団体交渉の場面で問題となろうし、個別労働紛争での使用者性も問題とされている。