錚吾労働法

三四回 労働時間ーその1原則的なこと
 労働時間は、労働の質ではなく、労働の長さを計測し賃金額を計算する単位としてあります。哲学的または物理学的時間とは、何の関係もありません。
 人間は、食事、労働、睡眠を日々繰り返し、自己の体内から生ずる労動力を再生産しています。労働は、1日の約3分の1を占めています。睡眠も、ほぼ同様ですよ。それ以外の時間を家族生活、自己研鑚や娯楽に使っていることでしょう。労働時間というときの時間は、物理学や哲学が扱う時間とは何の関係もない即物的な時間です。
 1日は、24時間です。午前0時から午後24時までが、暦日の1日ということになっています。午後21時ないし午後22時に就寝し、午前6時ないし午前7時の起床するのが、健康的だとされているようです。食事と睡眠によって、働く力と意欲を日々再生させているのです。
 労基法は、労働時間の基本を1週間40時間、1日8時間としています。しかし、時間外労働制、フレックスタイム制、変形時間制という変則的労働時間制があります。基本的な労働時間と時間外労働以外に、労働者の自由な働き方の追求とか規制緩和の掛け声の下に、労働時間制度に次々と手が加えられ、一般の労働者が読んでチンプンカンプンな労働時間規律となっていることは、良くないことです。役人言葉丸出しのみっともない規定になっていますので、労基法32条の2以下の定めを読むときは、労働基準監督署に出かけて、パンフレットをもらって、分からないところは分かるまで質問するといいですよ。
 フレックスタイム制度は、一時は随分と称揚されていました。労働時間は使用者によって一方的に決定されるのが常態であったところに、始業時間に労働者の自由度を高め、労働者が全員職場にいなければならないコアタイムを設定しておくというアイディアでした。時が移り、時代が変わり、今やエコの時代ですよ。いつまでも会社の電灯が灯っていたんじゃ、エコとはいえないわな。
 一斉始業、一斉終業というのは、悪くないわな。変形時間制度も、こうすりゃ益々日本経済が隆々たるものになるはずだったんだよ。やっぱり、王道を行かなきゃ。労働時間は、もっと短くできる。日本人の集中力を信ずるべきだろうよ。1周35時間、1日7時間を目標とするくらいのことを言わなきゃ