錚吾労働法

四一回 労働時間ーその8労働時間法⑤
会社の就業規則に、始業・就業の時刻および休憩時は、季節または業務の都合により変更し、一定期間内の特定の日あるいは特定の週について、労働時間を延長し、もしくは短縮することができるとの定めがあるとしましょうか。
 会社は、この定めの趣旨について、一般的な条理を定めたものであって、会社には恣意的に労働時間を変更してりする意図はないのだと言っています。この定めについて留意しなければならないこととしては、就業規則の制定・改廃は使用者が一方的にすることが出来るということと、特定の日、特定の週と言っているだけで、何月何日、何月何周という具合に言っていないということ、何月何日または何月何周の始業時刻と就業時刻、休憩時間を具体的に特定していないことです。ちょっと、ややこしいかな。
 労基法は特定せよという趣旨で、特定の日、特定の週と言っているんだから、会社が就業規則の定めで、特定の日、特定の週と書いているだけでは、労基法の要求しているところにはそぐわないわけだ。そういうそぐわないような就業規則を作定してしまうと、会社が「そんな気はさらさらござんせん」と言ってもだよ、会社は、会社の都合よくこの定めを運用していくだろうよ。そういうものなのさ。
 そんなわけで、あれこれ考えてみると、上のような風業規則の定めは、相当いい加減なものだということになるんだね。裁判所が、このような定めは無効であると言っているけど、ガッテン・ガッテンということになるわな(岩手第一事件・仙台高裁判決)。