錚吾労働法

四四回 労働時間ーその10労働時間法⑧
 最初に、被災者の皆さま、犠牲者の皆さまに真心からお見舞い申し上げます。それ以外の言葉は、思い当たりません。どうか御身お大切に。1日も早く、温かい所で温かい食事が出来ますよう、また温かい布団でぐっすり睡眠出来ますように、お祈りするばかりです。    いま大変なことになってるから、読んでくれている方々と一緒に考えよう。地震だけでも大変なのに、津波の襲来があって、さらには原発事故ですから。どうしたら良いのか、五里霧中ですよね。労基法33条がかくも強暴な災害を想定していたとは、誰も思わないでしょう。企業には跡かたもなく消滅させられたものも、あるに違いありません。否、多いのです。この場合、残業も休日労働も考える余地がありません。
 企業が残っていても、妻、夫、子供、孫の姿を探し求めている方々に働けと命令できないでしょう。労基法33条は、不測の事態には労働者に助けてもらおうというものですが、使用者は、逆にどのようにしたら、労働者を支援することが出来るかを考えるべきでしょう。例えば、希望者には国民の祝日を前倒しして、ボランティア活動を鼓舞する必要もあるでしょう。ボランティア休暇制度を、この際、拡充強化する必要を感じている経営者も多くいるだろうと思います。議会は、この制度を民間企業に委ねるのではなく、公的な制度として練り上げるべきです。
被災した企業も、そうでない企業も、生産の再開を急ぐべきです。ハローワークは、必要な労働者の確保に全力を傾注しなければなりません。重機の生産とリースは、最大限にまで展開されなければなりません。内閣総理大臣による生産開始命令、生産増強命令などの命令的生産、命令的増産の制度を創設しなければなりません。必要な要件を考えなければなりませんが、使用者に残業命令を発するよう命令する権限も、内閣総理大臣に付与すべきでしょう。
 原発事故の処理は、事業者たる電力会社にその責任があると言ってられません。決死の労働は、自衛隊などに命令されました。誰かがやらざるを得ないとすれば、誰が誰に命令すべきなのか。内閣総理大臣防衛大臣、各幕僚長という具合に、命令系統を通って自衛官に出動・作業命令が出された筈です。この場合、残業命令などは考えられもしません。数分で交代しなければならない危険度満点の労働だからです。こんな労働をして下さっている方々には、全国民が感謝すべきです。
 東京直下地震東海地震東南海地震が予測されています。今回の地震津波原発事故は、やらねばならない事柄があまりにも多いことを明らかにしました。内閣危機管理室、原子力安全院のみならず、各省庁の災害時の機能発揮を検証するのでなければなりません。何が出来て、何が出来なかったのか。何名を現地に出張させたか、出張中に何をしたか、何をしなかったか、何を出来なかったか。これらを検証して、国民に報告しなさい。報告義務があると思うよ。これらを全部やって、危機管理業務システムを作り直さないといけません。
 復興工事のための重機は、これまでならば、中小の土木会社が多数保有していました。復興事業は、中小土木会社の出番でしたよね。しかし、長い間の土木苛めのため、食うためとはいえ、重機が売り払われてしまい、絶対数で大不足しています。これは、政治の貧困が招いたことです。われわれは、とんでもない連中を議会に送り込んできたのではないのか。われわれは、自分自身の責任も痛感しているよ。公務員は、政治的に決定されてしまったら、グーの音もでないよ。