錚吾労働法

六一回 女性労働者の就業制限
 女性労働者をただ女性だから保護せねばならないなどと、考えてはいけません。保護という名の女性への不利益強要は、あってはならないことです。高所に行けない(「高所制限」)建築家じゃあ、仕事にならない。18才以上の女性の「坑内労働」ダメなどと言っていてよいのかな。人力掘削ダメ(労基法64条の2の2項)というのは、ひょっとしたらまだふっきれていないのかもしれないよ。
 女性の男性とは異なる生理作用(妊娠、出産、授乳)の発揮に障害となる就業や企業内制度は、極力排除されなければならない。少子化が将来の経済全体の運行に暗雲を齎すことのないようにするためには、保護的発想から女性が男性とは異なる権利を享受する主体たることを認識すべきではないでしょうか。
 生理日の就業に困難をきたす女性の「生理休暇」(労基法68条)を欠勤扱いとし、一時金査定で不利益をあたえるなどして、自己申告の不就労の権利の取得をためらわせるのであれば、その旨を規定する就業規則の効力は否定されるべきではなかろうか。自己申告の真偽について疑念を差し挟む人がいますが、疑念の正しさが証明されれば別ですが、信ずるしかありません。
 「生理休暇」、「産前産後休暇」(労基法65条)、「育児時間」(労基法67条)を賃上げ対象者を決める際の前年度稼働率計算の基礎とする非稼働とし、賃上げ対象者から除外すれば、権利行使の基づく不就労に不利益を与えることになります。就業規則や賃金規程がそんなことを定めていれば、それは無効の規定ですから適用できないことになります。就業規則などの諸規定を精査して下さいよ。「こりゃまずいわ」と思ったら、早めに改正しましょうね。
 労基法64条の2以下の諸規定は、よく読めば分かることでしょうから、精読しましょう。