錚吾労働法

一五回 賃金ーその2賃金の構成
 お手元の賃金明細をご覧ください。一口に賃金と言っても、それは単一でなく、種々の費目から成っています。基本給は、普通は、全賃金費目中で最も賃金額が多い部分です。賃金を固定給と変動級とに区分する場合、基本給は固定給に属します。
 営業職の場合、売上高の一定割合が賃金として支給されることがあります。基本給よりも、営業手当のほうが高く設定されることが多い。時間を賃金計算の基礎とするのか、仕事量を基礎とするのかの相違です。
 外勤営業の場合、労働時間を算定しがたいことがあるので、みなし労働時間制(労基法38条の2の1項)が採用されることがあります。この制度の下では、相当の残業をしても残業手当が支給されないこととなります。労働時間の算定可能性があるのであれば、みなし労働時間制を採用してはいけません。
時間外・休日労働をさせたとき、使用者は2割5分以上5割以下の割増率で計算した時間外労働手当、休日勤務手当を支給しなければなりなせん。日本の企業では時間外労働が多かったが、長期不況のため減少した。
 時間外・休日労働手当の割増計算の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金を参入しないこととされています(労基法37条4項)。